まさかここに来ての最高傑作じゃねーの?『忍物語』
しかしながら西尾維新も人間賛歌の作家である。荒木先生もびっくりだ。
読後感は最高だ
いつだって優しい。過去の自分に驚くほどに優しい。迷って失敗した人間にとても優しい。
シリーズ初手の「化物語」はたしかアニメから入った僕だけども、西尾維新の紡ぐドラマとシャフトの描き方、両方がまさにドンズバでそこから熱心に追いかけてここまで来た。
最近の作品は薄いカルピスみたいな消化試合が多かったけども『忍物語』は積み上げたドラマを最高に生かした形で形になっている。
恋物語で頑張ったあげく死んだのかどうかわからんかった貝木もなんとなく生きてるっぽい感じだし。
羽川を超えるほどのパーフェクトオブパーフェクツな臥煙先輩も実に人間くさい装置として機能していて。
アニメ化されたらクソ盛り上がるだろうなぁこれ。大体裸だから厳しいだろうけども、見せ場はたくさんあるよ。
謎解き要素を主軸としつつ、謎に関してキッチリ決りを付けながらお楽しみ要素をこれでもかとくっつけ、あげく笑わしてしみじみさせて、教訓を嫌みなく混ぜつつ、スッと終わる。
満足。
お洒落
正直扇ちゃんのくだりはアニメ化までして大々的に終わったぁって感じだけども、化物語ファーストシーズンの星を見てキスをしましょうに比べると「終わり」として物足りさなもあり。
老倉育の壮絶さのほうが際立ってしまってなんだかなぁという感じが正直な感想だけども、こうしてフィナーレからの追送で終わりさえも飲み込むシン・オワリな感じを持ってきてくれると、なんら期待してなかった分すがすがしい。
いいじゃん、人生は続いていく。迷い続けていく。
大人になれる人もいるし、なれない人もいる。
しかしまあ、自分が昔やっちゃった失敗を誰かが繰り返そうとしているならば、一生懸命奔走するよな。
かっこよく先輩風は吹かせられないかも知れないけども。
魅力的なキャラが多すぎて、今後10年は新作出そうな勢いだけども、やっぱ期待しちゃうよな。
というわけで、シリーズを追いかけている人は見限らずに手を出して吉だよ。
しかしまあ、最高傑作は言い過ぎか。
宵物語
余物語
扇物語
死物語(上)
死物語(下)
まだまだ続くわけですからね。
文:シンタロヲフレッシュ
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