映画『ジョジョの奇妙な冒険』を是非観に行って欲しい
どばんお盆も最終日で、特に予定がないならば劇場に行って欲しい。
おそらく正直、興行的に微妙なラインだと思うんだ。ジョジョ映画が第何章まで続くのかは公開されてない?はずだけども、次回作の予算感は当然この第一章の成績を鑑みられるだろう。
正直多分やばい。これは応援をせざるを得ない。
今から見に行くジョジョの何が良いって、いっさい期待してないとこね。いっさい。
ゴーストインザシェルはちょっと期待しちゃったからねー。ヨハンソンに。— シンタロヲフレッシュ (@shintarowfresh) August 4, 2017
↑見る前
↓見た後
三池崇史監督を舐めてたわ。土下座したいわ。 #ジョジョ映画
— シンタロヲフレッシュ (@shintarowfresh) August 4, 2017
映画自体は面白くないけどもジョジョファンだから観に行ってくれと懇願する立場では“なく”、映画として楽しめるから時間的金銭的余裕があれば毛嫌いせずに行ってくれと“心から書ける”ことは、僕にとってラッキーである。
端的に言って良い映画だった。
「ジョジョ大好き」というありあまる有利な条件を差し引いても、奇妙で狂気を孕み泣ける実に良い映画だった。
まずいな、と思う部分はたくさんある。
確かにたくさんある。コスプレと言われたらもうソレまでだし、アニメ版に比べ演者たちの演技のテンポ感もまどろっこしい。簡単に言えばたるい。
が。
圧倒的にシナリオが最高なのだ。それはそうだ、だって原作がジョジョなのだから。クソカッコ良くクソ優しいやつらの魂の削り合い、誇りをかけた戦いが『ジョジョ4部』の、いや、家族を守る愛こそが人間賛歌ジョジョの根底に流れている。
そしてこの(サブカル)映画をワンランク上に押し上げる「愛」を楽しむがよいッ。
スタッフの愛、演者の愛。
もちろん仕事なんだろうけども、おそらく各スタッフが愛で仕事をしたはずだ。でなければあの町並みは、あの衣装は、原作ファンをいい意味で裏切る大胆な編成はなされなかっただろう。
以下盛大にネタバレ。
以下盛大にネタバレ。
いや正直ネタバレも何も、原作あるしな。とタカをくくっているとラストでにやつけるから楽しみにな。
原作を知らなければ楽しめる、はフォローになっているのか問題
まずは多分おそらく原作を知らないとこの映画はキツい。
どれだけ主役の山崎賢人が好きな人でもキツい。ストーリーは追えても人物の相関がまるで意味不明になる。特に承太郎の説明の無さは異常である。
マンガの原作を知っている、もしくはアニメは見た層じゃないときつい。
もちろん、伊勢谷友介のオラァが見たいだけの層も観に行って欲しい。
あれはなかなかよいモノだった。ジョジョが好きなら伊勢谷友介のオラァはきっと楽しめる。
映画全体を通して原作を知らない層にも配慮するタイプの中途半端さはあまりない。パラメーターは原作ファンに振れている。
杜王町の再現っぷりがすごい
明らかに日本ではない、海辺のヨーロッパ感。だがソレがいいッ。
街の色味、建物の意匠、むしろスペインの街に荒木先生がインスパイアされて書いたんじゃね? と逆説的に思えるほどロケがハマっている。
日本にあんな町があればいいのに。
あれだけのエキストラをどうやって集めたんだろうか、愛だ。
虹村家もすごい、アレはセットか? もしもセットじゃないと再現度がすごい。あれを見つけてきたロケハンチームの気合いがすごい。
キャスティングのはまりみがすごい
國村隼がいい芝居をカマしてくる冒頭からもうすでに、あ、この映画は絶対にヤバいとヤバみを存分に感じてもらえるだろう、俺は感じた。
作品のテイストで言えば「グレートですよ、まあ間違いなく」という感じ。
町を守る熱血漢ポリス面を丁寧に実にいい芝居で演じ、描かれている(アニメでいえば39話のなかでたった2話目で死ぬのに!)。
虹村慶弔が殺人を繰り返しながらもスタンド使いを増やす理由、虹村兄弟の父の写真が復活する場面、確信していけるけども、グローバルに打って出られるほどの共感しかない家族の物語だ(原作さえ普及してれば)。
観月ありさのは母役もズバリどんずばである。
老けたなぁとは思うけども、あれだけ綺麗でスタイルの良い母親が日本にどれだけいるというのか(まあまあいそう)、ビジュアル、声、たたずまい、ベストに近い。
しかし、一番のはまりみは、虹村弟、億泰である。なんだ、あの再現能力。見た目全然違うのに完全に億泰である。
スタンドバトルは、まあ、頑張っている
承太郎役の伊勢谷裕介の最初の「オラァ」で、はーん、これは頑張りを感じる!ってなる。
後のオラオララッシュは好き。
ただまあCGのクオリティーは作り手も気にしているのか、バッドカンパニー以外は最小限かなという感じ。その取捨選択も正しいと思う。
だってこれ、ヒューマンドラマだから、ジャンルは。特殊異能バトルじゃないから。
原作からの取捨選択が巧み
悪く言えばけっこうな改変というか、カットが行われてる。
そしてこれからも行われると思う。それでも映画が終わってエンドロールが流れる頃には、え、もう終わりってなるので、勇気を持って下した判断は正しかったと思う。
流石に重ちー、露伴は出てくるかな。音石明、噴上裕也、鉄塔、エステシンデレラ、はどうなることやら。
愛
しかし、本当にクレイジーダイヤモンドというスタンド設計は見事というほかない。破壊と再生を司るが、真の能力は再生にある。しかし、死を覆すことはできないという非情さを内包し、自身は癒やせないという弱点を持っている。そしてその根底は圧倒的な優しさから生まれている。
僕は結局、モンスター父が写真で泣くシーンで当然泣いた。
そしてそのあと虹村慶弔が爆死するシーンで笑ってしまった。そういうことである。
仗助は結果として祖父を殺されたけども、虹村父を直すためなら手伝ってよいと語る。言ってみれば諸悪の根源である虹村慶弔にそう語る。このドラマチック性を大胆かつ丁寧に描いたドラマ、それがジョジョ映画である。
CGに関しては予算がモノを言うから、コレばっかりは成績次第で第2章が豪華になる可能性あるから、ほんと観に行って欲しい。
ハリウッド版トランスフォーマー的なテカテカヌルヌルCGじゃなくて、PIXAR的なマット感で持って仕上がることを期待したい。
文:シンタロヲフレッシュ
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