吐き出す方が先

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吐き出す方が先

バリスタ

水泳の経験者ならばわかると思うけども、遠くまで泳ぐのはしんどい。

マラソンも同じように、体にうまく酸素が取り入れられないととてもキツい。肉体が疲れる以上に呼吸がままならない状況が続くことを体が許容しないのだ。それもそのはずで、生まれる前から酸素と栄養は充分に与えられ続けてここまできた。それはそれでラッキーだった。

水泳の話を続けるが、例えば遠くまで泳ぎたい場合水の掻き方や蹴り方も重要だけども、ポイントは息継ぎにある。コツと言うほどでもないけども、まずは肺の中の息をすべて吐き出すのだ。

空にする。

すると面白いもので、体は勝手に息を吸い込む。たくさん吐き出すほど、必死に吸い込もうとする。深い呼吸になる。

水泳もマラソンも、歌を歌うにもダンスをするにも、たくさんの酸素を体に取り込める方が圧倒的に有利なのだ。

呼吸においては鶏卵問題にならない。吐くことが先だ。たくさんもらうには、空にすることを習う。体はそうできている。びちょびちょのスポンジは役に立たない。台ふきはまず乾いていないと使い物にならない。

ところが、だ。お金や知識、今まで見たこと得たこと全部、僕は無意識にため込もうとしていないだろうか。

もっと欲しい、倍欲しいのに、吐き出す前に、吸い込むコトばかりを考えてはいないか。

蓄えはほんとうに僕を安心させているか。

もらうよりも、出す方が先なのではないか。

体において吐き出すこと、思考において吐き出すこと、お金において吐き出すこと、仕事において吐き出すこと、人との付き合いにおいて吐き出すこと。

全部無くすのは難しい、吸い込むよりも、吐き出すことの方が難しい。もらうと嬉しいが、無くすことは痛みであり恐怖である。

だからこそ、水泳のように、上手くすべてを吐き出せたならば、たくさんの酸素を体に取り込み遠くまで行ける。

習わなくとも呼吸は出来る。しかし、意識しないとすべてを吐き出せないように、まずは、いつだってゼロになる方法を知っておくべきなのだ。

循環を意識して、さらに言えば、順番は、吐き出す方が、与える方が、なくなるほうが先なのだ。

吐き出そう、空になるまで。

文:シンタロヲフレッシュ

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