ねぇ

タイムライン

ねぇ

バリスタ

ねえ、私たちにとって最悪って何かしら?

彼女はこちらを見ずに質問を投げかけてきた。

ふむ。最悪……ねえ。

と返すと、僕の返事を待っていますよ、という視線をようやくこちらに向けてくる。どうやらしばらくは会話に付き合え、ということらしい。

まず考えられることは心身ともに不健康な状態で生きる事だろうね。

大病を患い寝たきりになり、手足も動かせずそれでも生きていること。

何らかの精神的な問題で自制を失い、子供を殴るのも最悪だ。

次に死ぬことかな。自分が嫌いな自分になるのは死ぬよりもつらい。

ふうん、と言いたそうな顔だ。言う。あと3秒したら言うに違いない。

言葉を待たずに意識を自分の内側に向ける。

仕事をクビになったら最悪か?

家が燃えたら最悪か?

貯金をすっかりだまし取られたら最悪か?

子供がグレたら最悪か?

仕事はまた見つければいい、家もお金も手に入れたものはまた手に入れればいい。災難には違いが無いけども最悪とはほど遠い。

子供がグレるのはイヤだけども、ある程度は因果応報だ。そういう風に育てたのは自分だ。

なんとかなると考えられないのがイヤだ。

そう考えれば、どうやら最悪を防ぐ為に出来ることは意外とシンプルである。

健康的な生活。清潔な衣服を着て、適度な運動。意義があり適量な労働。健康的で食べ過ぎない食事。もちろん気の利いた会話も必要だ。退屈は敵だ。

交通事故に巻き込まれない注意力、人から恨みを買いすぎない生活態度。

ラッキーなことに大部分をクリアしていた。

じゃあ逆に聞くけど、君にとって最高って何かな?

あなたよ。

と言うに違いないだろ? という視線を彼女に向けたけども、もうすでにこっちを見てすらいなかった。

さて、お昼にしようか、何が食べたい?

サラダ。

健康的ー。

文:シンタロヲフレッシュ

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何かとてつもなく価値のあるものを作っている気がする