ハードボイルドでなければ、生きていけない。

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ハードボイルドでなければ、生きていけない。

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prasm読者のみなさま、初めまして。きまやです。

普段は、「きまやのきまま屋」というブログを書いています。シンタロヲフレッシュさんがキャンプに行きまくりながら「 更 新 す る 暇 が な い 」と嘆いているので、一ファンである私が寄稿という形でprasmに書いています。

お付き合いください!(平身低頭)

私事ですが、去年引っ越しました。平たく言うと実家なう。学生時代を過ごした家にいます。緑に囲まれた家に。

家に着くまで山を登って、家に着いても先は山。つまり、山の中腹に住んでいる。キャンパーの方々から見たら羨ましい? いや、山しかないんですよ……。

都心を懐かしんでいるうちに、ふとチャンドラーに手が伸びました。そう、ハードボイルド!

学生時代まさに同じ場所で読み、都会への憧れを募らせた記憶が甦る……うっ頭が頭痛。こんなはずじゃなかった……けど、まあいいや、読書は楽しい。

そんな私の青春のチャンドラー、ハードボイルドについてのご紹介です。

ハードボイルドといえば?

ハードボイルドって、どういうイメージがあります? タフで、クールで、モテて、キザで……? カッコいい探偵が事件を難なく解決しながら、女に惚れられてニヤけながら名言を吐く、そんな感じでしょうか。私もそう思っています、偏見ですけどけっこう合ってます、たぶん。そして舞台は都会なんです!

ハードボイルドの本質を読み解くとしたら、以下の3点だろうと思うんです。

都会の描写がカッコいい

たとえば、こういうところ。

人々は腹を減らせ、病気を患い、退屈し、孤独や後悔や恐怖で自暴自棄になり、怒り、残酷になり、熱に浮かされ、身を震わせてすすり泣く。都会なんてどこも同じようなものだ。都市は豊かで、活気に満ち、誇りを抱いている。その一方で都市は失われ、叩きのめされ、どこまでも空っぽだ。

『ロング・グッドバイ』P380

都会(まち)の人ごみ肩がぶつかってひとりぼっち的な。(song by 馬渡松子)

人はたくさんいるのに、誰とも分かり合えない。だからこそ寂しくて生まれる心のひだ、揺れ動き。誰にだってあるその透明な寂しさは、どうしようもなく人を引きつける魅力がある。

だって、孤独であることだけが、私たちの唯一の共通点でしょう?

主人公が自分語りをしすぎない

探偵は、主人公であってもほとんど自分のことを話しません。会話から類推するしかない。これけっこう独特な手触りです。信頼できない語り手みたいで気になるし、展開が予想しづらい。

リアルで発揮すると地雷ホイホイでしかない「何を考えているか分からない男が好き!」っていう性癖は、ハードボイルドで満たしていこうね!

そしてハードボイルドな人は、メンタルが病まない。探偵のタフさって、体が頑健なことでも格闘技ができることでもなく、この精神性だと思うんです。

もちろん、彼らだってたまに弱ってしまうことはあります。だって寂しいもんね。生きるって寂しいよな!?(号泣)ただ、悩んでいても描写は潔いほどほとんどない。酒飲んで寝て終わり。だから、探偵に何かを語るのはいつも他者。

彼はライターで胸をとんとんと叩いた。「もうからっぽだ。かつては何かがあったんだよ、ここに。ずっと昔、ここには何かがちゃんとあったのさ、マーロウ」

『ロング・グッドバイ』P533

内省と自分語りを繰り返す「セカイ系」、嫌いではないけどちょっと食傷ぎみ……な脳に沁みます。

権力に立ち向かうアウトロー

ハードボイルドには事件がつきもの。事件と言えば警察です。ルパンだってコナンだって、事件があるところには警察がいますよね。

けれど決して警官と馴れ合わないのが、ハードボイルドの探偵。反感を買って尋問されたり投獄されたり……。反骨精神のなせるわざでしょうか、本人だって警官に反発してばかり。描写もひどい。

最初に現れたのは警官にしては小柄な男だった。中年で痩せこけた顔をして、そこには疲弊の色が恒常的に焼きつけられていた。

『水底の女』P208

(この後この警官に平手打ちされる)

質問に答えず依頼人をかばうことも。
そりゃ警官も、優しくしてくれるわけがありません。火花散らしてきます。その、 媚びない、へつらわない、ビビらない、 VS権力! という構図がカッコいい。

『64』推しなので警察モノも好きなんだけど、組織に属さない一匹狼っぷりは「探偵らしさ」の極み。クールだ!

私の思う「ハードボイルドの魅力」は、こんな感じ。女性の描写がてきとーだとか、キザすぎるやろお前、みたいなツッコミはおいておくとして、読んでいてとても楽しいです。

これを読んでハードボイルドに興味が湧いたら、ぜひ読んでみてください。やっぱり基本はチャンドラーです!


【引用文献】
ロング・グッドバイ
水底の女

著者:レイモンド チャンドラー


アイキャッチ・挿絵:

アライヨウコ

アライヨウコ

歌うたいとして作詞・作曲・歌う活動をしながら、2017年より 風通しのよい線のイラストや文字を中心に描く・作る活動もはじめる。
人生なにはともあれ、散歩とお茶の時間は欠かせない。

Twitter https://twitter.com/curryouko

Instagram https://www.instagram.com/araiyouko_artworks/

文:きまや

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