こころを亡くすとかいて
よし、心を亡くすとかいて忙しいって最初に言った奴を屠ろう。
と彼女が言った。
よし、じゃねーよ。
安心して欲しい。多分そいつはもう既に死んでいるから君が直接手をかけるまでもないし、うーん、無理だ。
重めのリリースを控え帰宅時間もずいぶんと遅くなったこのごろ、危うくスルーしかけた彼女の言葉だったが、ちょっとまて、これはメッセージだ。
ははーん、なるほど、どうやら結婚式記念日は二日前だ。
いやいや忙しいことは本来ありがたいことなんだけどね。問題はといえば自分の時間を持てないこと。
やりたくて仕方が無いこと以外で自分の時間が圧死していること。
君はやりたいことをやっているか? ショートケーキの苺は先に食べてるか?
大切な日をうっかり忘れたならそれは兆しというものだ。
4cmだけ僕の方を向いて、目線を外しながら喋る彼女に取り繕う言葉をなんとかひねり出そうとは試みるけども、こりゃあ次の一手が重要だ。
君と家族のために生きよう。
なにより、自分の為に生きよう。
美味しいモノを食べよう。
行きたい場所に行こう。ウユニ塩湖にいこう。
半年後は何してる? じゃあ1年後は? 即答できないならヤバみある。
やりたいことはたくさんあるし、全然着手もできてない。でもさ、それはわりと悪いことでもない気がしている。
後回しに出来るほどの時間は残されてはいないけども、伸びしろはある。時間もまだある。
心を亡くすとかいて(☝ ՞ਊ ՞)☝と読もう。ちなみに発音はパリピな。肌が青いギャルは何ギャルだっけ? 教えてBuzzFeed先生プリーズ。
エニウェイ。
心はなくしたくないものだ。
忘れるくらいのめり込もう。
亡くすくらいならあげよう。
下心もまごころも君に。
リッシンベンってドイツっぽさあるよな。
文:シンタロヲフレッシュ